野菜の放射線物質の規制値とその根拠について&計算

    野菜の放射性物質 体に影響は?

    前の日記では規制値の7.5倍を短期間摂取したとしても問題ない、という計算をしました(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1692624994&owner_id=454353

    その後、次々と東北の野菜から「暫定規制値」を超える放射性物質が検出され、出荷が止められてしまいました。
    日本は法治国家なので、法令が定めた基準値を超えた野菜を止めたことは正しい判断だと思います、はい。

    それは納得できます。だってそれを許すと規制値の意味もなくなりますし、この先どんな汚染物質が海外から入ってきても文句言えないですから、断腸の思いで出荷は一時的にとめざるを得ないです。


    つらい思いをされている福島の農業・酪農を営んでいるかたも、出荷していいものか悩むでしょう。というか、実直なプロの方たちですから、規制値を超えるものを流通に乗せるわけには行かない、と考えるでしょう。


    ただ、この先の東北・特に福島の野菜や農産物に対して、皆がネガティブなイメージを持ち、東北の人の復興を妨げるのであれば由々しき事態。


    かといって、政府発表の「暫定基準値」なる規制基準がどれだけ安全なのか、いまひとつぴんとこないし、政府が「基準値は超えています、だけど安全です」とか「規制値以下なので大丈夫になりました」っていっても、


    「ざっけんなー!そんなんで納得できるか!?そもそも「暫定」ってなんだよ?どーせ今作ったんだろ?原発事故が起きてからあわてて作ったんだろ!?だまされねーよ!福島のものは絶対買うもんか!復興は支援したいけど食って死んだら元も子もねーだろ!!おめーらの言ってることはわけわかんねーんだよ!!」
    という人もいるはず。つーか政府の発表のしかただと、まずこう思っちゃう。理性で押さえつけても心のどこかに疑念があると、行動に出てしまうかもしれない。


    放射能という見えないものは、人には恐怖そのもの。まず手に取ったことがないし、意識したこともない。感覚的に「怖い」のです。


    でもnaka-takeは仕事柄、放射線物質を取り扱う機会が多く、大して怖いと思っていません。
    大学で多少なりとも放射線物質の動態を学んだし、人間多かれすくなかれ、放射線に晒されて被曝しまくっていることを知っています。


    なので、皆さんよりもちょっとだけ冷静に、この問題を考えることができるかもしれません。


    ホウレンソウに含まれるヨウ素131は暫定規制値が2000ベクレル/Kgだそうです。
    この数字自体は、どうもEUでの基準に準じていて、世界レベルのものっぽい
    http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu02590360344
    決して、「今回の」原発事故が起こってから作られた基準ではないですね

    もうちょっと詳しく調べてみました。

    食品安全委員会のHPによると(チェックしたい方はリンク先のPDFの内容を。ファイルサイズは12.1MB。重いです、つーか、バリバリ専門家向けなので内容の理解はかなり厳しいかと。僕もつらすぎ、要約しか無理)http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20060331054


    この規制値自体は、1986年にチェルノブイリ原発事故が起きた際、国際的に放射線物質に関して基準を決めよう、という動きに連動して作成されたもの。
    ということで、「暫定」という言葉は、この事故が起こったときに立てられた法案を、急遽、規制値として使ったために、1986年から「暫定」という言葉が使われ続けています。
    http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-04-07


    以下PDFのコピペ
    ---------------------------------------------------------------
    「4.日本及び諸外国の規制、基準値及びその設定根拠に関する文献
    チェルノブイリ原子力発電所原子炉事故のような、大量の放射性物質の放出をともなう事故が発
    生し、一般公衆が、過度に被ばくをする可能性がある場合は、実行可能な限り、被ばく低減のための対策をとることが必要である。その判断の基礎となる線量を介入レベルという。介入レベルを超えないように環境汚染物質や汚染食品の摂取や流通を制限するため、二次的に設定される制限レベルを誘導介入レベルと呼ぶ。本章では、日本、ICRP、国際原子力機関(IAEA:InternationalAtoLlicEnergyAgency)の飲食物に対する誘導介入レベルと、食品安全に関する国際機関が定めている基準値についてまとめる。
    4.1 日本の基準
    わが国の原子力防災に関する原子力安全委員会の指針「原子力発電所等周辺の防災対策について」
    (4・1)(以下、防災指針と呼ぶ)は、成立当初から131Ⅰに対する飲料水、野菜及び牛乳中の濃度についての指標を設定していた。その後、チェルノブイル事故の経験を踏まえてセシウムを、再処理嘩設を考慮してプルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種1に関する指標を設定した。さらに、1999年9月のJCO臨界事故をふまえて、核燃料施設の防災対策からウランに対する指標を設定した(4・2)。この指標の改定は以下の考えに基づいている。
    ①指標は、飲食物中の放射性物質が健康に悪影響を及ぼすか否かを示す濃度基準ではない。指標は、緊急事態における介入のレベル(防護対策指標)であり、防護対策の1つとして飲食物摂
    取制限措置を導入する際の目安とする値である。そのため、基準値や制限値ではなく、指標と
    いう用語が用いられている。
    ②指標算出に当たっては、放射線防護指標設定の基本となるICRP,IAEA,世界保健機関(WHO:WbrldHealthOrganization)等(4・3)の考え方にもとづき、回避線量(防護措置を実施することで免れる線量)がそれ以上ならば防護対策の導入を判断する線量と・して実効線量5(mSv/年)(放射性ヨウ素による甲状腺等価線量の場合は50(mSv/年))をもとにするとともに、わが国の食生活等の実態も考慮された。」

    ---------------------------------------------------------------




    これでイントロ・・・・なげー・・・orz





    実際のファイルの内容はものすごく細かに計算されており、定義や基準が丁寧に説明され、規定されておる模様。読むと理解できないにしろ安心はできます。が、やっぱ噛み砕かないとわけわかんね。

    つーか、わけわかんね。


    naka-takeの頭で理解できたのを以下に要約


    ①一般的な人間が、年間に消費する550kgの食物および飲料水の全てが暫定基準値の放射能で汚染されていると仮定する
    ②物質ごとに臓器に与える影響が違うので、その物質に沿った評価をする
    ③乳児には影響が大きいと判断されるので、特に厳しい基準を設ける
    ④日本の食生活(海産物を良く食べる)を加味
    ⑤平均的な日本人の被曝線量は医療(2.25mSv)と天然の放射線源から(1・48mSV)の計3.75mSv
    ⑥内部被爆で、全身に影響がある場合は5mSv/年、ヨウ素131は甲状腺に集中的な影響があるので別途厳しい基準を設ける
    ⑦極めて厳しい仮定で基準を設けているため、結果的に個人の被ばく線量はわずか1m S v程度や、それを超えることはほとんどありそうにない
    ⑧チェルノブイリ、JCO臨界事故の両方の事故を加味する

    ・・・こ、ここまで!!!
    理解するのに相当パワーが要ります。かなりつらい。脳回路の限界を感じます。
    またおいおい理解できれば上は足していきますが、要はめちゃくちゃ厳しくしました、ということです。食べるもの全てが原発事故を起こした際に起こる放射性物質で汚染されていて、それを食べ続けた場合、という仮定を立てて算出しています。

    そりゃー厳しいわ。


    なので、規制値を超えた農作物を1種類や2種類食べたところで全然健康被害は出ません、ということですね。めちゃくちゃ厳密にやってると思います。
    逆にどこが手抜きなのか知りたいくらい。


    んー・・・・しかし上のPDFの内容説明を政府がやれってのも無茶な気がする。
    特に管、オメーには無理っぽ。


    でもさー「基準値は超えています、でも大丈夫です」よりはもうちょっと言い方があるんでない?
    あとマスコミさん、あんたたち情報をかみ砕いて分かり易く説明するのが仕事なんだから、これくらい説明してくださいな。。。さっぱりわかんないじゃないか


    まぁ、えらそーに言ってますが、僕も上のPDFの内容のほとんど理解できてませんが・・・orz
    大体で良いんですよ、大体で!!!




    ちなみに上の規制値の上限である5mSvというのは、自然からの受ける被曝量の世界平均の倍くらい。食物と水道水それぞれで5mSvを上限としています
    有馬温泉換算で行くと、35分浸かったのと同じくらい。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1690182387&owner_id=454353

    基準値ぎりぎりのものを年がら年中ずーっと食べて過ごして、トータルで5mSv被爆する模様。
    (実際は仮定が厳しすぎるので1mSvにも満たない)
    水に関しても同様で5mSvを超え内容に設定してあります。

    水と食品を足して10mSvを上限にしていますね
    これは国際的な基準勧告が10mSvに設定されているため
    日本だけが国際的な規制値を大幅に超える設定をしているってことはありません

    100mSvで健康被害が集団内で有意に検出される「かもしれない」のですが、それの以下の以下。
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1690846356&owner_id=454353&org_id=1690182387
    5~10mSvでは、統計的にガンが有意に増えるという事態は、考えられません。nak-takeは年間50mSvまで被曝しても良いとされている職についていますが、今のところは(笑)全く影響がございません。
    「ここまでは被曝量の上限としましょう」という法律や規制値と「実際に受ける放射線量」の間はかなりの開きがあります。上限値ぎりぎりまでになることは、確率的に少ないようになっています。それが法律的な枠組みというものです。

    暫定基準値で予想されている実質的な被曝量1mSv(これにも満たないと予想されている)だったら日本人が平均的に受ける医療の際に受ける被曝量以下です。


    とても厳しい規制値ですね



    最後に数字の計算


    基準値が2000ベクレル/Kgなので(http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1692624994&owner_id=454353)の計算からいくと、
    規制値ぎりぎりのホウレンソウを1kg食べた場合、放射性物質が完全に体からなくなるまでの間に、0.044ミリシーベルトをトータルとして被爆します。


    0.044ミリシーベルト・・・・人間が普通に暮らしていると、1.4ミリシーベルトの被曝を受けます。




    ・・・誤差じゃね??


    ちなみに、ポテトチップスには370ベクレルのK40という、半減期が12.5億年の放射線物質が入っています。http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010407/04.gif こう書かれると怖くなりますが、実際ポテチ1kgを食べたとしても、0.002ミリシーベルトの被曝です。


    何にでも、ある程度は放射性物質は入っています。
    程度の問題。


    今回の高レベルに汚染されたとされるホウレンソウは0.33ミリシーベルト/kgです。
    単純計算、300kgを生のまま食わないと100mSv以上の被曝をすることができません。
    つーか、食いすぎて絶対腹壊します。


    農作物や肉、水、口に入れるもの全てを、今の規制値を超える(実際はたいしたことないですが)放射線を含んだ地域のものしか食わないっって人は、ちょっと注意が必要?かな?というレベルですね。放射線物質を食いたいんだ!という人でも、流通する以上、今の規制値以下の値しか放射線しか浴びれませんから、体の調子がおかしくなるとは考えられません。というか、「放射能食っちまったーやべー」と思い込んでいるほうが、はるかに健康に悪い。


    今後、規制値以下の放射能が検出され続けたとしても、僕は安心して福島産のものを食べます
    だって、どれだけがんばっても5mSv以下しか被曝しませんもの。それ以上は無理だと思われ。


    ちなみに私、年間50mSvまでの範囲で被曝しても良い業務についています。
    5mSv?1mSv? 誤差ですな。

    少なくとも僕は、福島のものだからといって、買い控えたりしませんぜ!!!1
    法律の問題をクリアして、福島産物が流通すれば、どうどうと買って震災地を支援したいと思います






    明らかな記載ミスがあればご指摘ください。
    あと、くれぐれも今の計算結果です。
    放射性薬理動態を学んでますが、あくまで素人計算なのでご容赦を。


    前の日記も参考まで

    「できるだけ正確にホウレンソウの放射線量を計算」
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1692624994&owner_id=454353&org_id=1690846356
    {1ミリシーベルトは危ない?}
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1690846356&owner_id=454353
    「東京の放射線って危ないのん?」
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1690182387&owner_id=454353&org_id=1689486839



    追記
    相変わらずなげー・・・orz



    ①先の日記で、ヨウ素131ならば物理学的半減期は8日なので、1週間置いておけば半分、2週間で1/4になることは書いた。セシウム137の物理学的半減期は30年なので残念ながら置いておけば何とかなるものではないですが、冷凍とかで時間は稼げますし、加工することでKgあたりの放射性物質の混入はかなり軽減できるはずです。なんとか有効利用できないものでしょうか・・・
    http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-04-07
    ②日系ビジネスにしっかりした記事あり↓
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110323/219112/?P=1
    セシウム137による健康被害としては、チェルノブイリでも1件も確たる報告が無いそうな
    ③同じような計算をされている方発見~
    http://blog.goo.ne.jp/wakilab/e/bd31dc95883dafbff426c3eca673eb24?fm=rss
    ④水道水に含まれているヨウ素131について
    水道局の水質基準の10Bq/L、WHOの1Bq/Lはあくまで平時の水質目標値です。医学的な見地から健康被害が出る、とされる値ではないので混同なきよう。今は首相命令で「原発事故による緊急事態http://www.city.kawasaki.jp/53/53bosai/home/lib/tiikibousai/toshi/tosisaigai5/5-4(21).pdf」が宣言されているので、水質目標値による規制から健康被害が出るかどうかの規制に切り替えられています。決して「事故があったから基準値を緩くした」のではなく「法律として、事故による緊急事態における基準に切り替えられた」のです。現在の300Bq/Lというのは、1986年から綿々と検証されて、健康被害が想定されるのはこのレベル、という検証を経たものです。国際基準に準じていますので、誤解なきよう
    -------------------------------------------------------------------

    シロート意見だけではなく、プロのQAsh1800さんの記事も御参考に
    ↓少なくともMixi中で一番信頼のおける情報です
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1696746064&owner_id=8757341&org_id=1696781718
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    プロフィール

    NakatakeYuhki

    Author:NakatakeYuhki
    東京に在住している研究者です。
    専門:分子生物学、幹細胞生物学、発生生物学、DNA修復、転写制御機構。生物全般に興味があります。

    反似非科学。懐疑論的な考え方をします。

    薬学畑。出身は関西。

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